← コラム一覧に戻る
AIマーケティング

AIがブランドを「語る」時代へ――AEO・SNS分析・データ融合の最前線

AIがブランドを「語る」時代へ――AEO・SNS分析・データ融合の最前線

「見つけてもらう」から「AIに語ってもらう」へ――マーケの主戦場が変わっている

消費者がGoogleで検索するかわりに「ChatGPTに聞く」行動が当たり前になりつつある今、マーケティングの競争軸は静かに、しかし確実に変わりはじめています。今週注目すべき3つのニュースは、それぞれ異なる角度から、この変化の輪郭を鮮明に描き出していました。AI上でのブランド管理、SNSのリアルタイム感知、そして防衛・情報機関向けデータ分析企業のマーケ業界参入――。規模や業種を問わず、日本のマーケターにとってひとごとではない動きが揃っています。

AIに"正しく"語ってもらうための新ツール――Contentful「Palmata」

コンテンツ管理プラットフォームの大手Contentfulが6月23日に発表した新ツール「Palmata(パルマータ)」は、「SEOの次」を象徴するサービスです。ChatGPTやPerplexity、Google AIオーバービューといったAI検索エンジンが回答を返す際、自社ブランドがどのように説明されているかを可視化・調整できる機能を備えています。

具体的には、競合他社との比較表示の差異の分析、特定の地域やターゲット層ごとに「見え方」がどう変わるかの検証、さらには「どのコンテンツを変えればAIの回答がこう変わる」というシミュレーションまでを一括で行えます。メディア大手のThe Atlantic、電子署名のDocuSign、クラウドストレージのBoxといった企業がすでに先行導入しています。

日本の文脈に置き換えると、楽天市場やAmazon上の商品ページが「SEO対策済み」かどうかを確認するのが今の当たり前であるように、「ChatGPTで自社商品を検索したときに何と返ってくるか」を定期的に確認・管理することが、2〜3年後の当たり前になる可能性があります。専門用語では「AEO(AI Engine Optimization=AI検索最適化)」と呼ばれます。今すぐできる第一歩は、自社のブランド名や主力商品名をChatGPTやGeminiに入力して現状の回答を確認することです。その結果が、競合との比較でどう見えるかを把握するだけでも、優先すべき課題が浮き上がってくるはずです。

SNSの「予兆」を先に読む――Hootsuite「Wisdom」が拓く次の運用スタイル

SNS管理ツールの老舗Hootsuiteが6月24日に発表した「Wisdom(ウィズダム)」は、単なる投稿スケジューラーの域を大きく超えています。15年以上にわたる自社SNSデータと1億5千万件超の情報源を学習したAIが、ブランドにまつわる話題の急上昇・炎上の予兆・次のコンテンツアイデアを、一画面でまとめて提示してくれる「SNS専任のAI担当者」として機能します。

投稿の管理、カスタマー対応、社員による発信(アドボカシー)まで統合した「Social OS(ソーシャルOS)」という新プラットフォームの中核エンジンとして位置づけられており、既存ユーザーへの提供はすでに開始されています。

国内で例えるなら、X(旧Twitter)・Instagram・TikTokを複数名で運用している企業が、炎上のきっかけとなりかねない投稿に対して「翌朝担当者が気づく」ではなく「AIが発生の兆候を事前に察知して知らせてくれる」体制に移行するイメージです。社内のSNS担当が1〜2名という中小規模の企業ほど、こうしたAIによるリスク検知の恩恵は大きいでしょう。日本国内ではSprout SocialやBranchwatchといった類似ツールも展開されていますが、SNS特化型のAIエージェント機能の競争はこれから本格化します。コスト・機能・日本語対応の3点で比較検討を始めておく価値があります。

軍・政府向けデータ分析がマーケに転用される衝撃――Palantir × Zeta Global

3つ目のニュースは、業界の枠を超えた大胆な動きです。米国の大手データ分析企業Palantir(パランティア)が、AIマーケティング会社Zeta Globalと年間売上1億ドル超(日本円で約145億円)規模の戦略提携を6月23日に発表しました。発表の場はカンヌライオンズ――広告業界最大の国際フェスティバルです。

Palantirはもともと、米国防総省やCIAなどへのデータ分析基盤提供で知られる企業です。その高精度なデータ統合・分析技術を、今度は企業マーケティングに転用しようというのが今回の提携の本質です。Zeta Globalは自社のAIエンジン「Athena(アテナ)」をPalantirの基盤技術の上に全面再構築し、顧客データのリアルタイム分析から販売・マーケティングの自動判断までを一貫して処理できる仕組みを目指します。

日本企業への示唆は明確です。これまでの「データ活用」は、CRMや広告配信システムがそれぞれ個別のデータを持ち、連携が不十分なまま運用されてきたケースが多くありました。今回の提携が示すのは、「データの量よりも、データをつなぎ合わせる構造が勝負になる」という方向性です。国内でもSalesforceとTableauの連携、あるいはGoogleアナリティクスとCRMのデータ統合に取り組む企業が増えていますが、その先にあるのは「リアルタイムで判断を自動化する」レベルです。大企業マーケティングの次の主戦場は、個別ツールの最適化ではなく、データ基盤全体の統合設計になるでしょう。

日本のマーケターへ――今週の3ニュースから問い直したい3つのこと

今週の3本は、いずれも「AIが人の代わりに何かを判断・発信・説明する」という共通テーマを持っています。日本のマーケティング現場でも、この流れはすでに始まっており、気づかないうちに競合との差が開く可能性があります。自社に問いかけてみてほしい視点を3点で締めくくります。①ChatGPT上で自社ブランドは正しく紹介されているか? 現状把握は今すぐ無料でできます。まず検索してみることが出発点です。②SNS運用は「見てから動く」から「感知して先に動く」に進化できているか? 少人数チームほどAIツールの導入効果は高くなります。③社内のデータはバラバラなまま運用されていないか? ツールを増やす前に、データをつなぐ設計を優先することが、次の競争優位の土台になります。

出典

CONTACT US

マーケティング✕AIの課題や知見、まずはお気軽にご相談ください

XTVでは、CRM/MA/BIを駆使したセールスフロー最適化からコンテンツマーケティングまで、貴社の成長を伴走支援します。

お問い合わせはこちら →