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AIマーケティング

広告の3割超がAIへ——2026年、マーケターに問われる本当の専門性

広告の3割超がAIへ——2026年、マーケターに問われる本当の専門性

AIが変える「当たり前」——2026年、マーケティングに何が起きているのか

「AIで仕事が変わる」という話はずいぶん前から聞こえていた。しかし今、その変化はいよいよ数字で語れるほどの具体性を帯びてきた。ガートナーの最新調査では2028年までにマーケ業務の36%がAI自動化されるという試算が出た。AIがチャットの中に広告を差し込む仕組みが実用化され、Metaは広告コピーをゼロから書かなくてよい世界を今年中に実現しようとしている。3つのニュースを並べると、マーケターの「仕事の意味」そのものが書き換わろうとしていることが見えてくる。

マーケ業務の自動化、2028年には3分の1超へ——ガートナー最新調査

調査会社ガートナーが2026年5月に発表したレポートによると、マーケティング業務全体のうちAIが自動で担う割合は、現在(2026年)の16%から2028年には36%へと倍増以上する見通しだ。

具体的に自動化が進む領域として挙げられているのは次の3つだ。①成果に連動した広告効果の測定、②AIによるキャンペーン分析と立案、③AIが広告素材の"良し悪し"を判断する「クリエイティブインテリジェンス」——つまり、AIが自らクリエイティブの品質を評価し、最適なものを選ぶ仕組みだ。

日本企業の文脈で置き換えると、LP(ランディングページ)のA/Bテスト判断や、SNS広告の素材選定といった作業がAIに委ねられる世界がすぐそこまで来ている。「ちょっと試してみる」という段階は過ぎ、業務の設計そのものを変える局面に入りつつある。

ただし、同レポートで最も注目すべき数字は技術の話ではない。CMO(最高マーケティング責任者)の80%が「社員のAIへの不安・抵抗感」を普及の最大の壁として挙げているという点だ。ツールは整いつつあるが、人が追いついていない——これは日本の現場でも非常にリアルな課題だろう。年功序列的な組織構造や「失敗しない文化」が根強い日本企業では、AI活用の試行錯誤を許す組織風土の醸成が、ツール導入よりも先に問われる。

2年以内に業務の3分の1がAIに移行するとなれば、今すぐ着手すべきは「どの業務をAIに渡せるか」の棚卸しと、チーム全体への段階的なリスキリング(スキルの学び直し)だ。「AIが来たら対応する」では間に合わない。

「検索」から「会話」へ——AIチャットの中に広告が入る時代

広告テクノロジー大手のCriteoが新たに展開しているのは、ChatGPTやClaudeといったAIチャットサービスの会話の流れの中に商品広告を組み込む仕組みだ。

たとえばユーザーがAIに「来月の出張に使えるバッグを探している」と話しかけたとき、会話の文脈をリアルタイムに読み取り、関連性の高い商品をその場で提示する。同社は日次利用者7億2千万人・年間取引1兆ドル超の購買データを持っており、そのデータをAIに接続することで「文脈に合った広告」を実現している。2026年第1四半期に提供開始した「Commerce Go」では、広告主がキャンペーンを約10分で設定でき、ChatGPTやClaudeの画面から直接操作することも可能だ。

この流れが持つ意味は大きい。これまで消費者の購買行動は「検索→比較→購入」というステップをたどっていた。しかし今後は「AIと会話しながら、そのまま購入」という体験が主流になりうる。Google検索で上位表示を狙うSEO対策が当たり前になったように、AIチャット内での露出を意識しないブランドは、次の競争で後れをとるリスクがある。

日本市場でも、楽天市場やAmazon Japanを活用するECブランドや、実店舗を持つ小売業にとってこの変化は無視できない。今から準備できることは、商品データ(名称・説明文・スペック)をAIが読み取りやすい形に整えることと、従来のSEO戦略と並行して「会話の文脈での商品訴求」を意識したコンテンツ設計を始めることだ。

Metaが全広告主に展開する「完全自動広告」——コピーゼロの時代

Metaは2026年中に、企業がコピー(広告文)を一行も書かなくてもAIが広告を自動生成・配信する仕組みを全広告主に展開すると表明した。

すでに800万人以上の広告主が何らかのAI広告ツールを活用しており、AIで動画広告を生成した場合の成約率は平均3%以上改善されているという。AI自動最適化キャンペーンの年換算売上高は600億ドル規模にのぼり、Meta全体の広告収益は前年同期比23.7%増と大幅に伸びている。

さらに注目したいのが「AIコネクター」機能だ。外部のAIツールからMetaの広告を操作・管理できるようになったため、社内で活用しているChatGPTや業務用AIと連携しながらMeta広告を動かすことが可能になる。これにより、これまで広告代理店に委ねていた運用業務の一部を、インハウス(自社内)で回すことが現実的になってくる。

ただし「自動が増える=楽になる」とは単純に言えない。AIが正しく機能するかどうかは、「何を目的に、誰に届けたいか」という設計の精度にかかっている。KPI(成果の目標指標)が曖昧なままAIに任せると、大量の広告予算が的外れなターゲットに流れ続けるリスクがある。広告コピーを書く作業はAIに移るが、ブランドの言葉を定義し、ターゲットの解像度を高め、KPIを正しく設定する仕事は人間の手に残る。Metaが完全自動化を進めるほど、「AIに何を目指させるか」を設計する力がマーケターの新しい専門性になる。

日本のマーケターへの示唆——「使いこなす側」に立つために

3つのニュースを通じて見えてくるのは、AIがマーケターの仕事を「奪う」のではなく「変形させる」という現実だ。自動化が進むほど、設計・判断・責任という人間の役割が浮かび上がる。

今すぐできる準備は3つある。まず、自分たちの業務フローを棚卸しして「AIに渡せる作業」を特定すること。次に、AIチャット内での商品・ブランドの見え方を意識した情報設計を始めること。そして、Meta等のAI広告ツールを実際に試しながら「AIに任せるための設計力」を磨くことだ。ツールは整ってきた。問われているのは、それを使いこなす側に立つかどうかの選択だ。その差が、2年後の競争力を分けることになる。

出典

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