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マーケティング戦略

なぜ、あなたの会社のマーケティングと営業は対立するのか?〜売上208%増を実現する「SLA」という解決策〜

なぜ、あなたの会社のマーケティングと営業は対立するのか?〜売上208%増を実現する「SLA」という解決策〜

なぜ対立は起きるのか?根本にある「ゴールの不一致」

「マーケティングが集めてくるリードは質が低いんだよな…」

「営業がちゃんとリードをフォローしてくれないから、成果が出ないじゃないか!」

あなたの会社では、マーケティング部門と営業部門の間で、このような会話が交わされていないでしょうか。多くの企業で、この二つの部門は「犬猿の仲」と揶揄されるほど、対立関係に陥りがちです。本来であれば、顧客を獲得し、会社の売上を最大化するという共通のゴールに向かって協力すべき両者が、なぜすれ違い、反発し合ってしまうのでしょうか。

この部門間の対立は、単なる雰囲気の悪化に留まりません。有望なビジネスチャンスを逃し、従業員のモチベーションを低下させ、ひいては会社全体の成長を阻害する深刻な経営課題です。

マーケティングと営業の対立の根本原因は、非常にシンプルです。それは、それぞれが追いかけている「ゴール(KPI)」が異なることにあります。

| 部門 | 主なKPI | 重視する傾向 | |---|---|---| | マーケティング | ウェブサイトPV数、リード獲得数、MQL数 | 「量」を追う | | 営業 | 商談化数、受注数、売上金額 | 「質」を追う |

マーケティング部門は、KPI達成のために一人でも多くのリードを獲得しようとしますが、その中には当然、購買意欲の低いリードも含まれます。一方、営業部門は確度の高いリードに集中してアプローチしたいと考えているため、「質の低い」リードが大量に送られてくることに不満を抱きます。結果として、「マーケティングは数を集めるだけ」「営業は努力が足りない」といった相互不信が生まれるのです。

この「ゴールの不一致」が、部門間の連携を阻害し、情報共有を滞らせ、組織のサイロ化を深刻化させる元凶となっています。

解決策は「SLA」にあり。売上を208%成長させた驚きのデータ

この根深い問題を解決し、両部門を強力な一つのチームに変えるための具体的な手法が**「SLA(Service Level Agreement)」です。SLAとは、直訳すると「サービスレベル合意書」。もともとはIT業界などでサービスの提供者と利用者の間で結ばれる品質保証の契約を指しますが、マーケティングと営業の文脈では、「両部門間で交わされる共通の目標達成に向けた約束事」**と理解してください。

「ただの約束事か」と侮ってはいけません。このSLAを導入し、マーケティングと営業の連携を強化した企業が、驚くべき成果を上げているのです。

マーケティングと営業が緊密に連携している企業は、そうでない企業に比べて、マーケティング経由の収益が208%高い。[^1]

さらに、連携が取れている企業は年間平均で20%の収益成長を遂げる一方、連携が取れていない企業は逆に4%の収益減少に見舞われるというデータもあります [^2]。

SLAは、単なる仲直りのためのツールではありません。企業の収益に直接的なインパクトを与える、極めて強力な経営戦略なのです。

【3ステップでできる】SLAの作り方ガイド

では、具体的にどのようにSLAを作成すればよいのでしょうか。ここでは、誰でも実践できるよう、3つのシンプルなステップに分けて解説します。

ステップ1:共通言語を作る(MQL/SQLの定義)

まず最初に行うべきは、両部門で「見込み客(リード)」に対する認識を統一することです。SLAの土台となる、最も重要なプロセスと言えます。

| 用語 | 意味 | 定義例 | |---|---|---| | MQL(Marketing Qualified Lead) | マーケティング活動によって創出された「見込みが高い」リード | 特定のページを閲覧した、資料をダウンロードした、ウェビナーに参加した、かつ業種・役職が一定の条件を満たしている | | SQL(Sales Qualified Lead) | MQLの中から、営業部門が「フォローアップすべき」と受け入れたリード | MQLの条件を満たし、かつ営業担当者が予算・権限・ニーズ・タイムラインを確認したもの |

ポイントは、この定義を両部門が協議の上で決定することです。例えば、「単に資料をダウンロードしただけではMQLとは言えない。業界や役職で絞り込むべきだ」といった営業からのフィードバックを反映させることで、より質の高いリードの基準が明確になります。

ステップ2:部門間の「約束」を決める

共通言語ができたら、次はお互いの役割と責任範囲を具体的な数値目標として「約束」します。これにより、曖昧さがなくなり、お互いの貢献が可視化されます。

マーケティング部門の約束(例):

  • 毎月100件のMQLを創出する。
  • MQLの定義を満たしたリードは、24時間以内に営業部門に引き渡す。
  • 引き渡し時に、リードの行動履歴(閲覧ページ、ダウンロード資料など)を共有する。

営業部門の約束(例):

  • マーケティングから引き渡されたMQLに対し、2営業時間以内に初回連絡を行う。
  • 各MQLに対し、最低5回のフォローアップ(電話・メール)を行う。
  • 1週間以内に商談化、もしくはマーケティングへの差し戻し(理由付き)の判断を行う。

ここでの目標数値は、過去のデータや実績に基づいて、現実的かつ挑戦的なレベルに設定することが重要です。

ステップ3:定期的な見直しと改善の仕組みを作る

SLAは一度作成したら終わりではありません。市場やビジネスの状況に合わせて、継続的に見直し、改善していく必要があります。

そのために、定期的なレビューミーティング(最低でも月1回)を開催しましょう。この会議では、設定したKPIの進捗状況を確認し、目標達成の障壁となっている課題を洗い出します。例えば、「MQLの数は達成できているが、商談化率が低い」のであれば、MQLの定義そのものを見直す必要があるかもしれません。

また、営業がフォローした結果、「なぜそのリードが失注したのか」「どのような情報が不足していたのか」といったフィードバックをマーケティングに共有する仕組みも不可欠です。このフィードバックが、コンテンツの改善やターゲティングの精度向上につながり、SLA全体の質を高めていくのです。

【XTV独自の視点】日本企業がSLAで失敗しないための「3つの壁」

SLAは非常に強力なフレームワークですが、海外発の概念であるため、日本企業が導入する際には特有の難しさが伴います。私たちXTVは、これまで多くの企業のマーケティング・営業支援に携わる中で、SLA導入を阻む「3つの壁」を見てきました。

壁1:「性善説」の壁

日本企業には、「言わなくても分かるだろう」「お互い協力し合うのは当たり前」といった、暗黙の了解や性善説に頼る文化が根強くあります。そのため、部門間の役割や責任を契約のように明文化することに、心理的な抵抗を感じるケースが少なくありません。しかし、この「曖昧さ」こそが、責任の所在を不明確にし、対立を生む温床となるのです。SLAは、信頼関係を壊すためではなく、むしろ信頼関係を構築するための土台として機能します。

壁2:「部門最適」の壁

多くの日本企業では、部門ごとの縦割り意識が強く、自部門の目標達成(部門最適)が最優先されがちです。SLAは、会社全体の利益(全体最適)を最大化するためのものですが、この視点が欠けていると、「なぜ自分たちが相手に合わせなければならないのか」という反発を招き、形骸化してしまいます。SLA導入の成否は、経営層がリーダーシップを取り、「全社で一つのチーム」という方針を明確に打ち出せるかにかかっています。

壁3:「ツール導入」の壁

近年、CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)といったツールを導入する企業は増えていますが、ツールを入れただけで満足してしまい、その効果を最大化するための運用ルール、つまりSLAが伴っていないケースが散見されます。高価なツールも、SLAという羅針盤がなければ宝の持ち腐れになってしまいます。ツールはSLAを実行するための手段であり、SLAなきツール導入に意味はないと心得てください。

私たちXTVは、こうした日本企業特有の壁を乗り越えるためのノウハウを持っています。単にSLAのテンプレートを提供するだけでなく、両部門の現状を丁寧にヒアリングし、共通のゴール設定からKPI設計、そしてCRM/MAツールと連携した運用の定着まで、お客様のビジネスパートナーとして伴走支援します。

まとめ:対立から協業へ。SLAで「勝てる組織」を作る

マーケティングと営業の対立は、もはや放置してよい問題ではありません。SLAを導入することは、単にルールを作るということ以上に、両部門が顧客という同じ方向を向き、共通の目標に向かって力を合わせる「一つのチーム」になるための、文化醸成の第一歩です。

本記事のポイントを振り返りましょう。

| ポイント | 内容 | |---|---| | 対立の根本原因 | マーケティングと営業のKPIの不一致(量 vs 質) | | 解決策 | SLA(Service Level Agreement)の導入 | | 期待できる成果 | マーケティング経由収益208%向上、年間20%の収益成長 | | SLA作成の3ステップ | 1.共通言語の定義(MQL/SQL)→ 2.約束の設定 → 3.定期的な見直し | | 日本企業特有の注意点 | 性善説・部門最適・ツール依存という3つの壁を乗り越える |

対立による消耗戦を終わらせ、協業による相乗効果でビジネスを成長させる。そのための強力な武器がSLAです。この記事をきっかけに、あなたの会社でも「勝てる組織」への変革を始めてみませんか?


XTVでは、マーケティングと営業の連携に関する課題診断や、SLA策定・CRM/MA活用の具体的なご支援を行っております。「自社の状況を相談したい」「まず何から始めればよいか分からない」という方も、お気軽にお問い合わせください。

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参考文献

[^1]: Improvado, Highspot, Wheelhouse Advisors など複数の調査において、マーケティングと営業が緊密に連携している企業はマーケティング経由の収益が208%高いという結果が報告されています。参考:Improvado "Sales and Marketing Alignment: 7 Best Practices for B2B Growth"(2026年2月)

[^2]: Forecastio, "How SLAs Can Align Your Sales and Marketing Teams"(2025年2月)および HubSpot, "31 Stats That Prove the Power of Sales and Marketing Alignment"(2023年)を参照。連携企業の年間20%成長、非連携企業の4%減少というデータに基づきます。参考:Forecastio